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興福寺奏状 第九
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第九に国土を乱る失。仏法・王法猶し心身のごとし、互にその安否を見、宜しくかの盛衰を知るべし。当時浄土の法門始めて興り、専修の要行尤も盛んなり。王化中興の時と謂ふべきか。ただし三学已に廃し、八宗まさに滅せんとす。天下の理乱、亦復如何。願ふところは、ただ諸宗と念仏と、あたかも乳水のごとく、仏法と王道と、永く乾坤に均しからんことなり。しかるに諸宗は皆念仏を信じて異心なしと雖も、専修は深く諸宗を嫌ひ、同座に及ばず、水火並び難く、進退惟れ谷まる。もし専修の志のごとくは、天下海内の仏事法事、早く停止せらるべきか。しかるに、貴賎未だ帰せず、法命未だ終尽せざるは、全く他の力にあらず、忝くもわが后の叡慮動くことなく明鑑の故なり。もし後代に及びて専修隙を得るの時、君臣の心、余を視ること芥のごとくは、たとひ停廃に及ばずと雖も、八宗まことに有若亡ならんか。矧んやまた弗沙蜜王の伽藍を壊せしや、愚臣の諫言を容ゐ、会昌天子の僧尼を殄せしや、道士の嫉妬に起れり。法滅の因縁、将来測り難し。この事を思ふがために天聴に奏達す。もし当時の誡なくは、争でか後毘の惑を絶たん。ああ仏門随分の欝陶、古来多しと雖も、八宗同心の訴訟、前代未聞なり。事の軽重、恭しく聖断を仰ぐ。望み請ふらくは、天裁、七道諸国に仰せて、沙門源空の専修念仏の宗義を糺改せられんことを、者、世尊付属の寄、いよいよ法水を舜海の浪に和し、明王照臨の徳、永く魔雲を堯山の風に払はん。 誠惶誠恐謹言。
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