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興福寺奏状

 
 
興福寺奏状



法然上人流罪事

貞慶解脱上人御草

同形状詞少少
 

九箇条の失の事


第一 新宗を立つる失。 第二 新像を図する失。 第三 釈尊を軽んずる失。
第四 万善を妨ぐる失。 第五 霊神に背く失。 第六 浄土に暗き失。
第七 念仏を誤る失。 第八 釈衆を損ずる失。 第九 国土を乱る失。
 

興福寺僧網大法師等、誠惶誠恐謹言。


殊に天裁を蒙り、永く沙門源空勧むるところの専修念仏の宗義を糺改せられんことを請ふの状


右、謹んで案内を考ふるに一の沙門あり、世に法然と号す。念仏の宗を立てて、専修の行を勧む。その詞、古師に似たりと雖も、その心、多く本説に乖けり。ほぼその過を勘ふるに、略して九箇条あり。
 


第一に新宗を立つる失。


第二に新像を図する失。


第三に釈尊を軽んずる失。


第四に万善を妨ぐる失。


第五に霊神に背く失。


第六に浄土に暗き失。


第七に念仏を誤る失。


第八に釈衆を損ずる失。


第九に国土を乱る失。
 

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奏状一通


 右件の源空、一門偏執し、八宗を都滅す。天魔の所為、仏神痛むべし。仍って諸宗同心、天奏に及ばんと欲するのところ、源空既に怠状を進む、欝陶に足らざるの由、院宣によって制御あり。衆徒の驚歎、還ってその色を増す。なかんづく、叡山、使を発して推問を加ふるの日、源空筆を染めて起請を書くの後、かの弟子等、道俗に告げて云く、「上人の詞、皆表裏あり、中心を知らず、外聞に拘はることなかれ」と云云。その後、邪見の利口、都て改変なし。今度の怠状、また以て同前か。奏事、実ならざれば、罪科いよいよ重し。たとひ上皇の叡旨ありとも、争でか明臣の諫言なからん、者、望み請ふらくは、恩慈、早く奏聞を経て、七道諸国に仰せて、一向専修条条の過失を停止せられ、兼ねてまた罪科を源空ならびに弟子等に行はれんことを、者、永く破法の邪執を止め、還って念仏の真道を知らん、仍って言上件のごとし。
 



元久二年十月 日






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